
今回はSAT Subject TestのPhysicsを紹介したいと思います!
【出題範囲】
SAT Physicsは基本的に出題範囲が日本の教育課程とかなり似ているので、全てを1から学び直す必要はありません。しかし、以下に示している通り、一部理系しか習わない範囲または日本の中高では扱わないものもありますので、対策を書いておきました。括弧内に、その範囲を学校で習わない生徒の区分(文系・理系)を書いています。ただし、(文系)となっているところも、文系で高2などで物理基礎を選択した人はやっているかもしれません。詳しくは普段使っている物理基礎の教科書で確認してください。また、日本の理系の範囲に入っていても高3で学ぶ内容は、Subject Testを高2で受験する場合はまだ未習である可能性があるので、注意してください。
【力学の該当分野】(文系)
力積と運動量・運動量保存則
円運動
単振動
万有引力、ケプラーの法則
これらは理系の高2の1学期で学ぶ範囲です。高1の物理基礎(文理に分かれる前)で力学的エネルギー保存則までやると思うので、文系の生徒は上の4つのトピックをSAT Subject Test対策本(Barron’s, Princeton Reviewなど)または理系の物理の教科書・参考書で練習しましょう。練習の際は、参考書の「基本問題」までで大丈夫です。日本語の参考書を使うなら、『物理のエッセンス』(河合塾シリーズ)もかなりオススメです。実際、物理のエッセンスとほとんど同じの問題が沢山出ていました。
【電磁気】(文系、または高2の理系)
多くの海外受験生は、SAT Subject Testを高2の秋から受け始めると思います。よって、高2の秋時点では、理系の生徒でも、塾などで先取りをしていない限り、電磁気の多くが未習分野となります。これもまた上と同じで、SAT Subject Test対策本(Barron’s, Princeton Reviewなど)または理系の物理の教科書・参考書(物理のエッセンスなど)で練習しましょう。練習の際は、参考書の「基本問題」までで大丈夫です。
【波動】(文系、理系※一部の分野)
理系だと、波動は高2の夏休み後に学ぶと思います。光関係(レンズ、反射・屈折など)と音関係(ドップラー効果など)が同じぐらい出る印象です。このあたりは実験が結構出るので、有名な実験とその結果の意味(ヤングの干渉実験など)を把握しておきましょう。対策方法は上と同じです。
【熱力学】(文系、または高2の理系)
これは電磁気と同じで、理系の生徒でも熱力学は高3の前の春に始まるので、高2の秋時点で受験する場合は、塾などで先取りをしていない限り、熱力学の多くが未習分野となります。また、エントロピーの増大についての簡単な問題・考察が出るので、日本ではあまり扱われないですが、把握しておきましょう。対策方法は上と同じです。
【現代物理学・電子・原子】(文系、または高2の理系)
これは熱力学と同じで、理系の生徒でも現代物理学は高3の前の春に始まるので、高2の秋時点で受験する場合は、塾などで先取りをしていない限り、現代物理学の多くが未習分野となります。対策方法は上と同じです。
【Miscellaneous・その他】(文系、理系)
この分野が一番対策が面倒かもしれません。Miscellaneousの部類の問題は、ある法則を生み出した科学者の名前や、発見された年代などの知識問題です。Barron’sの本の後ろの方に暗記すべき知識が全部乗っているので、思い切って全部覚えましょう。試験全体の4-9%がこの分野の問題となります。
【難易度】
問題数:75問
制限時間:1時間
800点満点のボーダー:試験日によって変わりますが、大体75問中60問以上正解したら800点に換算されます。
理系・物理選択の場合:学校で使っている問題集の基本問題程度なので、そこまで心配する必要はないです。学校の授業で入試問題を解くかもしれませんが、そこで使っている道具を一つ一つ聞かれている感じです。理系・物理選択の場合、SAT Subject Testの中で最も満点が取りやすい試験であると思います。逆に、上位校の自然科学・工学専攻の受験生のほとんどはMath 2とPhysicsで満点近くを取ってくるので、ケアレスミスをしないように注意しましょう。
文系・物理基礎選択の場合:物理基礎をやっている場合、ある程度物理に慣れていると思うので、そこまで難しくないと感じられると思います。アメリカの大学で文系の専攻を希望している場合でも、Physicsで高得点を取っていれば、自分が文系・理系関係なく勉強ができるという風にAdmissions Officerに取られます。特に、文系・理系関係なく勉強するというのがモットーであるLiberal Arts Collegeを受験する際に、多少有利になるかもしれません。
文系・物理選択以外の場合:最後に物理をやったのが高1の場合は、少し慣れるまで時間がかかるかもしれませんが、文系の受験生にもPhysicsはかなりオススメです。実際、文系の方でも公式を暗記しただけでかなりの高得点を取れたケースも聞いたことがあります。1から学ぶ場合は、Barron’sなどのアメリカの対策本から直接行くのも悪くないかもしれません。その方が、SAT Physicsの多少独特な出題の仕方に慣れることができる上、最初から物理を英語で理解し、英語で学び直す必要がないからです。
【問題の傾向】
物理は本来暗記科目ではありませんので、本当は時間をかけて現象を理解する方が長期的に見れば望ましいですが、時間がない場合、公式暗記でもそこそこの点数が取れます(もちろん、せっかく暗記した公式の意味を分かっていなければ、忘れやすくなりますが…)。問題は、日本の二次の入試問題みたいに長くなく、問題集の基本問題が一杯ランダムに並べられている感じです。ただ、最近は本質的な理解をしていないと素早く解けない問題が増えています。逆に、このような種類の問題の背景を理解していれば、数秒で即答できます。また、グラフの問題も出る時もあります。これは、センター試験の物理の最初の方の問題とかなり似ています。これもまた本質的な理解の確認の場合が多いです。
もしも高2以下であり、時間の余裕があれば、自分の授業ノートの単語の上にその物理用語に対応する英訳をメモっておくと、問題をかなりすんなりと理解できると思います。もしもこのようなことをやって来てなくても、問題を解いているうちに自然と英語の物理用語が身につきますが、英語でまとめノートを作るのも一つの手です。
【例題】
Which of the graphs best represents the kinetic energy of an elementary particle as a function of its speed
, where
is the speed of light? (College BoardのSample Questionsより)
訳:素粒子の運動エネルギーと素粒子の速度
の関係を表しているグラフとして最も適当なものを、下の(A) ~ (E)のうちから一つ選べ。ただし、
は光速である。

答えは選択肢(B)ですね。運動エネルギーなので、
の場合に注目すると、選択肢(A), (C)では
で
でないので明らかに違うと分かると思います。選択肢(D)のグラフは直線なので、
であることに反します。また、特殊相対性理論によると光速を越えることは不可能なので、選択肢(D)と(E)を消去することができます。
余談:もう少し厳密に言うと、ある物体の運動エネルギーは仕事と運動エネルギーの関係より、と、エネルギーの総和と静止エネルギーの差として書くことができます。ここで、
で、
はローレンツ因子です。これらを用いて、
と書くことができ、選択肢(B)のグラフの概形が分かると思います。
の時、この式をテイラー展開して一次近似をすると、
と言う中々面白い結果が出てきます。
【最後に】
Math 2などと同様、Physicsを受験する人はかなり多いです。最難関私立大学、または上位州立大学で自然科学・工学系専攻を目指す場合は、出来る限り満点を目指しましょう!Physicsを受験している人の中には恐らくAP Physicsなどを履修している人も多く、比較的満点が狙いやすい科目です。以下の写真で分かる通り、800点は87th percentileで、受験者の13%が満点を取得したということになります:

Physicsは本当にオススメですが、迷っている人は一回College Boardが出している例題を解いてみましょう:

