合格通知書には”To our knowledge, there is no other undergraduate program in the nation that matches the scope, advanced level or degree of integration of social sciences and mathematics.” と書かれていて、アメリカの大学の中でも特にユニークなプログラムのようです。
カリキュラム
MMSS専攻に必要な授業は、以下の五つの一年間Sequence coursesです。
[Math285] Linear Algebra + Multivariable Calculus (線形代数と多変数微積分)
[Math385] Statistics + Econometrics (統計学と計量経済学)
[MMSS211] Microeconomics + Game Theory + Mathematical Models in Political Science
(ミクロ経済学・ゲーム理論・政治学における数理モデル)
[MMSS300,311] Advanced math models for various social science disciplines
また、MMSSは正確にはAdjunct Major なので、何か他にメインの専攻を決める必要があります。経済学専攻を選ぶ人が多いようですが、Political Science, History, Sociology, Psychology,等、選択は自分の興味次第です。先輩の中にはそんな専攻とも組み合わせられるの?!というようなことをしている人もいます。ちなみに僕は、EconomicsとMathematicsとのTriple Major を目指そうと思っています。
MMSSの強み・卒業後の進路
MMSSのwebsiteに具体的な就職先が載っているので細かいことは省略しますが、全体的に金融・コンサルが多い印象です。やはり数学力の強い上に応用力も強い人材ということがNorthwesternのお墨付きなので、アメリカの中では特に市場価値が高くなるようです。また大手の企業もこの専攻の卒業生を対象に特別なリクルートを行うこともあるみたいで、大学の名前の強さがより際立つ専攻と言えると思います。ですが、個人的には経済学で大学院進学を目指す人にも非常に有用な専攻だと思います。高度な数学的アプローチを用いた卒論テーマをMMSSのアドバイザーの元で取り組むことができるので、数学力が必要条件ともいえる経済学博士課程進学にはまさにうってつけと言えるからです。さらにこの卒論はNorthwesternの経済学修士課程用として扱うこともできるらしいので、MA/BA Combined Degreeがとても簡単にできてしまいます。(実際に僕自身授業を頑張って取り進めれば、4年間でTriple Major BA + Economics MA を修了できそうです笑)
Double Majorの専攻が共にMcCormick School of Engineering and Applied Science(工学部)の専攻で(=必須科目が多い)、高校がインターでなかったためAP Creditをあまり持ってないので、4年間で卒業したければ授業を5つ(今回は5.3 credit)取らなければいけない学期が多少増える。
宿題は毎週教科書の章末問題から5問程度で、中間・期末テストとSelf-Directed Labのレポートで成績がほとんど決まるシステムになっていました。後者は流体力学に関する自由研究をグループでする課題です。教授が昨年度の高得点を取得した自由研究プロジェクトのレポートを参考までに配布してくださったのですが、中には“How Bernoulli would have shotgunned a beer”などの大変興味深い、(かつ実用性のある?!)研究を行っていたチームもあったようです。僕は仲良かった機械工学専攻の友達2人と、春学期のHonors EA4で「オンライン」で知り合ったクラスメイトと4人で容器の横の高さの異なる穴から放出される流体の軌道の包絡線の算出・観察と、ベルヌーイの定理の条件(例えば、安定した非粘性流体であること)を満たさない流体の場合の軌道・包絡線の変化を調べました。
PHYSICS 135-2, 136-3 (Lab): General Physics (Electricity and Magnetism)
General Physics Sequence(一般物理学)の2つ目のコースで、トピックは電磁気学でした。Weinbergの自然科学系の専攻の人は135-1(力学)から受け始めるのですが、工学部の場合はEngineering Analysis 2(構造力学)と言う授業が135-1の代替となるので、135-2からの参加となります。
応用数学専攻には、Probability and Statistics Requirementと言う、確率・統計学に関連する授業を2つ取らなければならないと言う卒業条件があります。Northwesternには何故か統計学関連の授業を教えている学部が複数あり、僕の所属している応用数学科は「確率・統計の授業だったら何でも良い」と言うことだったので、Department of Statistics, Industrial Engineering and Management Systems, Mathematics, Psychology, Chemical Engineering, Biomedical Engineering, Mechanical Engineering, Electrical Engineering and Computer Scienceの統計学の授業から選ぶことができました。学ぶ内容は大体同じですが、それぞれの学部で異なるアプローチが取られているのが興味深いです。例えば、MathematicsとStatistics学部は数学的な厳密な理論を教える一方、他の学部はそれぞれの分野のコンテキストで必要なスキル(Industrial Engineeringの場合、Rなど)に集中したりするらしいです。僕は統計学の定理の証明に重きを置くStatistics Departmentの授業を取ることにしました(二重専攻で統計学専攻の友達も多かったので、一緒に授業を取りたかった、と言うのもありました)。
STAT 320-1は統計学専攻ではWeed Out Classとして少し悪名高い授業ではあることは、Northwestern内部のCTECSと言う授業評価システムのレビューを読んでいたので、ある程度知っていました。Northwesternの統計学の学部自体が小さい方であるのと、最近人気のデータサイエンスの流行りに乗って統計学の数学的側面を甘く見ている人を篩い落とすために、Weed Out Classにしていると言う説も聞いたことあります。
Middle Eastern and North African Studies: Arabs in the United States 人種に関する議論の中で、ヒスパニック系、アフリカ系、アジア系などと少し異なる立ち位置を取るアラブ系。肌の色ではホワイトのカテゴリーに入るのに社会的な差別は変わらず、さらにムスリムと同義に扱われたりと、アメリカにおけるアラブ人には多様なレッテルが重なります。そのようなアイデンティティの形成を軸に、ナショナリズムの影響や現在に至るまでのポジション確立への運動などを学んでいます。人種がこれほどまでに国家を動かしていると感じたのはアメリカが初めてだったので、アカデミックな視点でこのトピックについて深堀りでき、自分の経験をシンクロさせることができました。
Art History: Gender and Sexuality in Italian Culture フェミニズムについての授業なのですが、特にフェミニスト的ユートピアとは何かを追求するアプローチでした。「女性の活躍を支援する建築」についてなどの文献を読むのはもちろん、そのようなユートピアを実現させた古典的なフェミニスト映画や芸術作品を毎週のように分析し、自分の中でのアカデミックな幅が一段と広がりました。この授業におけるフェミニズムではどちらかというと男女平等を単に目指すだけでない、積極的な女性の社会的ステータス向上に重きが置かれていたこともあり、授業に参加する度に自分の思考にかけられている制限の鍵を開けられる感覚に陥りました。イタリア文化とタイトルにはあるのですが、授業で取り扱った内容においてイタリア映画は氷山の一角で、アフリカ系アメリカ人のアーティストに焦点を当てることも多かったです。男性はもちろん、院生も参加する授業だったので議論に持ち込まれる視点が広かったことも興味深かったです。また、課題が短いエッセイ2つとファイナルプロジェクトのみで、個人的には気を張らずに受講することができました。ちなみに私は家事の持つ社会的・ジェンダー的な役割をリセットする映画のプロットを書く予定で、量的には膨大なのですがアイデアを膨らませるのを結構楽しみにしています。
Fundamentals of Computer Science 親しい人がプログラミングに詳しかったこともあり、ノリで取ってみた授業。既存知識による成績の格差をなくそうという目的から、Racketというとてもマイナーな言語を使ってプログラミングの基礎を教わりました。全くの門外漢なので、新しい知識を吸収している感覚を高校以来初めて味わいました。ただ、自分の性格もあるかとは思いますが、プログラミングを学んで〜〜がしたい!といった目標がないと、おもむろに学ぶだけではモチベーションの向上がこの先難しい気がしました。また、実用的なスキルに実を結ぶことができれば良かったのですが、アカデミアで習うとやはりその点は十分に満たすことができないのかな、とも思ったり。とはいえ、エッセイとリーディングが大きな割合を占める自分のスケジュールの中では、少し違った息抜き的な意味合いを持たせることができましたし、何より経験したことによってプログラミング関係が少し身近に、怖くなくなったので経験して良かったと思っています。