お久しぶりです。オンライン授業の2学期目に入り、感覚も(そして体内時計も)徐々にこの「新しい日常」を受け入れつつあるところでしょうか。僕は久しぶりに高校を訪れて、パソコンの画面ではなく黒板に向かって生で授業を受ける生徒の姿を見て思わず感動してしまいました…笑
と言う事で、遂に秋学期の終盤に入ってきたので、恒例の授業紹介をしていきたいと思います!
実際の紹介の前に少し説明を入れると:
Quarter System(3学期制)であるNorthwesternで一般的に推奨されているCourse Load(1学期ごとの履修科目数=credits)は4 creditsで、更に工学部の場合は理数・工学系の授業2つ、その他1-2つと言う内訳が勧められていますが、秋学期も1年目の春学期と同様に5つの授業(厳密には5.33)を履修することにしました。また、秋学期に選んだ授業は全て理数系(・工学系)です。理由としては、
- 新型コロナで家に篭っている(いなければいけない)時間が多いので、どうせならその時間を有効に使いたい。クラブや課外活動の活動範囲等が減った分を授業に回して少し先取りをすることによって、以前の生活に戻った時に比較的余裕が出る。
- Double Majorの専攻が共にMcCormick School of Engineering and Applied Science(工学部)の専攻で(=必須科目が多い)、高校がインターでなかったためAP Creditをあまり持ってないので、4年間で卒業したければ授業を5つ(今回は5.3 credit)取らなければいけない学期が多少増える。
- アメリカの大学(特にNorthwestern)のカリキュラムの柔軟性を最大限に利用して、出来る限り専門科目で先取りしたい(特に研究のために必要な基礎理論の知識や手法を早めに習得したい)。
- 文系の授業も取りたいが、それらの授業ではディスカッションが主な柱になるため、新型コロナの収束を待ちたい。
では、これらを踏まえて授業を紹介していきたいと思います:
ES_APPM 395: Methods of Applied Mathematics(偏微分方程式)
応用数学専攻として取る一番最初の授業です。学科自体がMcCormick(工学部)に所属しているため、応用数学専攻の授業に関しては結構数理物理学色が強い印象です。実際、内容としては工学(流体力学、化学工学、電気など)・自然科学(主に物理学、化学)の現象をモデル化する数式の解き方が扱われました。理由としては、自然現象を支配する法則の多くは物事が起こる速さ(変化率)を関連付ける数式であることが多いから、と言うことらしいです。

EES_APPM 395は元々ES_APPM 311-1(EA4で扱われない常微分方程式の解法), 311-2(偏微分方程式)と2つの授業に分かれていましたが、今年からこれらを一つの授業にまとめられました。その分ペースがかなり早く、〜400ページ近くの教科書を一気に進めていったため、毎週の課題が何十ページにも及び、扱った内容を次の日までに漏れなく理解しなくてはならないというところでやや大変でした。
教授は凄く優しい方で、Office Hours (Zoom)に行くと大学院進学や奨学金などの相談まで乗ってくれたり、質問をしやすいようにPiazzaと言う掲示板機能の追加をお願いするとすぐPiazzaのサイトを作ってくれました。クラスの構成自体はほぼ50% (ES_APPM 252 Honors Calculus, GEN_ENG 206-4 Honors EA4で同じだった)Honors数学のメンバー、40%大学院生、10%その他(3年生の学生など)でした。特に大学院生とは普段関わりがあまりないため、一緒に授業を受けるのもなかなか新鮮でした。
MECH_ENG 241: Fluid Mechanics I(流体力学I)
日本(の大学)の機械工学科で「4力」と呼ばれる学問の一つです。高校の頃、機械工学科を卒業したJAXAの技術者の方と話した際に、この「4力」の知識がいかに大事かの説明を受けました。簡単に説明すると、この「4力」は材料力学、機械力学、熱力学、流体力学の4つの力学の分野で構成されていて、いかなる機械の設計において最低限知っていなければならない知識を指しているようです。
実際、流体力学の応用先と言うとまず思い浮かぶのは船や飛行機であることが多いでしょうが、この授業を通して流体力学がその他様々な機械などで応用されていることを知りました。例えば、表面張力に関連している現象であるelectrocapillarity(電気毛管性)を応用して、電圧を変化することによって接触角を変えられることを用いて、素早く焦点を変えられるvariable-focus liquid lens(可変焦点レンズ)などが可能になっているらしいです。また、Kindleなどの画面ではelectrowettingと言う(同じような)現象が利用されているようです。

他にも、昔サッカーボールを変な角度で蹴ったり(もちろん選手らはわざと回転をかけていますが)、ピンポン球などに回転をかけて投げると空中で球が変化するのを不思議に思ったことがありましたが、これも流体力学が絡んでいます。流体力学で出てくるベルヌーイの定理(流体における力学的エネルギー保存則のような式)によると、球の回転によって周りの空気が速く・遅くなり、球の変化を生む圧力の差が発生します。よって、テニスで強打しても、ナダル並みに順回転をかけることができればちゃんとコートに治るエッグボールになり、逆に十分な逆回転をかければ、フェデラーみたいにコートの上を滑っていく綺麗なスライスが飛んでいきます。
今回の教授は春学期のEA3と同じ方で、相変わらず分かりやすかったです。春学期のEA3の時は時差のため授業にライブ参加できず、教授と直接話すことができなかったのが残念でしたので、今回は生で見れて良かったです。また、Office Hoursが他の授業の時間と被っているためいつ直接話に行けるのだろう、と悩んでいたところ、運良く毎年恒例(らしい)の定期試験の最高得点取得者の「優勝インタビュー」の対象に選ばれ、教授とTAと直接話す機会が生まれました。最初は勉強法などの話を聞かれていたのが、日米(と教授が出身のインド)の教育システムの違いの話になり、最終的にはベンガル語における日本語の敬語に相当する言語表現や、教授の奥さんが日本語を勉強していることなどの話に展開し、楽しい時間を過ごすことができました。その後も教授のお勧めの、より数学的側面を意識して書かれた流体力学や理論物理学の教科書を勧めてくださり、「仲良く」なることができました。
宿題は毎週教科書の章末問題から5問程度で、中間・期末テストとSelf-Directed Labのレポートで成績がほとんど決まるシステムになっていました。後者は流体力学に関する自由研究をグループでする課題です。教授が昨年度の高得点を取得した自由研究プロジェクトのレポートを参考までに配布してくださったのですが、中には“How Bernoulli would have shotgunned a beer”などの大変興味深い、(かつ実用性のある?!)研究を行っていたチームもあったようです。僕は仲良かった機械工学専攻の友達2人と、春学期のHonors EA4で「オンライン」で知り合ったクラスメイトと4人で容器の横の高さの異なる穴から放出される流体の軌道の包絡線の算出・観察と、ベルヌーイの定理の条件(例えば、安定した非粘性流体であること)を満たさない流体の場合の軌道・包絡線の変化を調べました。
来学期のME 373: Engineering Fluid Mechanicsでは更に数学的に掘り下げて、最終的には航空宇宙工学への応用先が扱われるらしいので楽しみです。
※優秀な後輩も一緒に受けてくれるので安心w
MECH_ENG 233: Electronics Design

機械工学専攻の電気回路、と言うよりも名前の通りエレクトロニクスをデザインする授業と言った方が妥当でしょう。他の授業がほとんど理論ベースである一方、この授業は凄くhands-on experience(実際自分の手で作ってみる体験)重視でした。授業は週に3回あり、毎日新しいアナログ(後半はデジタル)回路の部品が紹介され、その性質などの説明を受けた後、次回までの宿題として回路を設計する授業でした。授業が始まる1週間ほど前にnScopeと言う、この授業を担当している教授方が開発したオシロスコープ・信号発生器がくっついているブレッドボードやトランジスタ、Siダイオード、スイッチ、スピーカー、アナログ・デジタルチップなどの部品が送られてきます。宿題では毎回ある機能を持つ回路をデザインする課題が3つ程度与えられて、授業で習った性質などをヒントにしながら、基本的には自分で試行錯誤しながらデザインをします。
特に学期の後半の方の宿題(電子サイコロなど)はかなり長く、2日に一回宿題が出されること自体が大変でしたが、回路が動いたときの達成感は半端なかったです笑。また、自分でどの部品を使うのかを選択したり、その部品の性質を長いデータシートから読み取らなければならないため、(今振り返れば…)特に理論好き(理論寄り)である僕にとっては色んな意味で良い経験だったとは思います。
ちなみに、3回ある試験では、紙で計算問題を解くだけではなく、実際に60分以内にまさに0から回路図を考えて、エレクトロニクスデザインをしなければなりません。最後の試験で時間が迫ってくる中、焦ってNAND Gateで指を刺してしまいました。痛かったです(泣)。
PHYSICS 135-2, 136-3 (Lab): General Physics (Electricity and Magnetism)
General Physics Sequence(一般物理学)の2つ目のコースで、トピックは電磁気学でした。Weinbergの自然科学系の専攻の人は135-1(力学)から受け始めるのですが、工学部の場合はEngineering Analysis 2(構造力学)と言う授業が135-1の代替となるので、135-2からの参加となります。
内容自体はどの国の学部生でも教養課程で学ぶであろう電磁気学です。イメージ的には、高校物理で教科書で証明なしで出てきてた公式はどこから来たのか?と言う数学的な背景を学ぶ授業でした。
この授業の特徴的な点は、その内容よりは、授業のやり方自体でしょう。Flipped Classroomと言う言葉が既に存在しているようですが、まさにその通り、今までの授業と「真逆」、と言うほどではないものの、授業時間をいかに有効に使うか?と言うところを良く考えられた授業でした。具体的に言うと、Sapling Physicsと言うウェブサイトで授業前までに「予習」として各トピック10-20分程度のPre-Lecture動画と小クイズが課され、授業自体はその章の内容の復習と、動画を見て分からなかったことを質問できる時間として使われました。また、最後の20分は、Whiteboard Questionsと言う、3−4人のグループで一緒に解くための問題が課され、授業終了後に自分の答案を提出する仕組みになっていました。また、テスト自体もグループテストで、ZoomのBreakout Roomsに3−4人で分かれて、一緒に問題を解く、と言うシステムになっていました。最初の方は、勉強をサボっている人がちゃんと勉強をしている人を利用するだけではないか、と言う懸念がもちろんありましたが、テスト自体ではただ単に計算する問題だけではなく、(比較的「パクりにくい」)なぜその答えに至ったのかの理由・数学的導出が大事になってくるので、あまり問題にはなりませんでした。個人的には、最終的な数値などを他のメンバーと相談することができたので、計算ミスなどによる失点を減らすことができたのが嬉しかったです。
STAT 320-1: Statistical Theory and Methods
応用数学専攻には、Probability and Statistics Requirementと言う、確率・統計学に関連する授業を2つ取らなければならないと言う卒業条件があります。Northwesternには何故か統計学関連の授業を教えている学部が複数あり、僕の所属している応用数学科は「確率・統計の授業だったら何でも良い」と言うことだったので、Department of Statistics, Industrial Engineering and Management Systems, Mathematics, Psychology, Chemical Engineering, Biomedical Engineering, Mechanical Engineering, Electrical Engineering and Computer Scienceの統計学の授業から選ぶことができました。学ぶ内容は大体同じですが、それぞれの学部で異なるアプローチが取られているのが興味深いです。例えば、MathematicsとStatistics学部は数学的な厳密な理論を教える一方、他の学部はそれぞれの分野のコンテキストで必要なスキル(Industrial Engineeringの場合、Rなど)に集中したりするらしいです。僕は統計学の定理の証明に重きを置くStatistics Departmentの授業を取ることにしました(二重専攻で統計学専攻の友達も多かったので、一緒に授業を取りたかった、と言うのもありました)。
STAT 320-1は統計学専攻ではWeed Out Classとして少し悪名高い授業ではあることは、Northwestern内部のCTECSと言う授業評価システムのレビューを読んでいたので、ある程度知っていました。Northwesternの統計学の学部自体が小さい方であるのと、最近人気のデータサイエンスの流行りに乗って統計学の数学的側面を甘く見ている人を篩い落とすために、Weed Out Classにしていると言う説も聞いたことあります。
最初の宿題の問題の一つで答案の記述の説明が少し違っただけで宿題全体の評価で30%程度減点されると言う「アクシデント」などがあって、この悪名高い授業を取ったことを少し後悔していた時期も最初の方ありました。また、テストに出される問題は授業・宿題などで見たことのない応用問題や、試験時間中に明らかに終えることのできない積分計算などがあったりしましたが、気付けば5週目ぐらいにはその厳しさに慣れていました。
GEN_MUS 115-0: Non-Major Piano and Organ
(あ、こんにちは。Spicychikenさんの直属の後輩にあたるShishoです。僕このクラスをとっていて、これが結構面白かったのでchikenさんと一緒に授業紹介することになりました。以下僕の文章です)
NorthwesternのBienen音楽院は全米でも有名ですが、実は音楽専攻でなくてもNorthwesternの学生であればBienenで音楽の授業を取れるのです。Gen_Mus 115-0では、Bienenで学ぶPhDの生徒さん(と言ってもそこそこの年齢ですが)が学部生に対しマンツーマンで週1回45分のレッスンをしてくれます。
授業料とは別にquarter毎に$315を払わないといけませんが、4ヶ月でこの値段だと日本の標準より安いし、先生も凄腕なので超お得です。僕の先生は台湾出身のヴィオラ弾きで、大統領の前で演奏したこともあるそう。その上ピアノも超上手くて、なかなか優しい先生でした。ちなみに奥さんは日本人らしい。
授業を受けるにはオーディションが必要です。お題は、初見演奏(簡単め、ムズめのどちらかを選ぶ)と自由課題(3分に収める)の二つ。僕は自信がなかったので結構ガチ目に練習しましたが、後々周りを見てみるとBeethovenの悲壮第二楽章なんか練習している生徒もいたので、そんなに思うほどハードルは高くなさそう。
で、授業で扱う曲は何かと言いますと、「相反するテーマ」。つまり、時代とか作風の違う2曲を扱います。僕はChopinのPrelude1, Prelude2, あとScarlattiのSonata K422を練習しました。(なんで3曲やってんねん、と言いますと僕の先生が「え、Prelude1やりたいの?短すぎね?じゃあ2番もしような」と足したため。)
Quarterが終わると、最終的にみんなの前で演奏する機会が与えられます(かなりのプレッシャー)。けれど、今回はコロナで生徒が集まれないので、自分の演奏を撮影してGoogleドライブで共有する形になりました。僕、もうろくにScarlattiが弾けなかったので、撮影型で命拾いしました。
授業は正直、しんどかったですー。大体1週間に15時間は練習室にいたような気がします。けれど、これは選曲を失敗しただけで、簡単な曲を選べば絶対もっと楽だったと思います。(選曲はしっかりしましょう。僕みたいに何でもハイハイって言ってると気づかぬうちに数分の会話で鬼スケジュールが出来上がったりします。)
普段はBienenのメインホールの隣にあるRegenstein Hallで練習します。毎日朝の7時から夜の10時まで、個人練習室のYamahaのアップライトピアノが自由に使えます。東京ならアップライトが1時間千円・・と考えれば、やっぱり安上がりです。(僕、ケチですね。)
僕の主観と偏見によるこの授業の評価は、星5つ中⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️でした。来学期も取ろうと思います。











