【授業紹介】2年目 秋学期

お久しぶりです。オンライン授業の2学期目に入り、感覚も(そして体内時計も)徐々にこの「新しい日常」を受け入れつつあるところでしょうか。僕は久しぶりに高校を訪れて、パソコンの画面ではなく黒板に向かって生で授業を受ける生徒の姿を見て思わず感動してしまいました…笑

と言う事で、遂に秋学期の終盤に入ってきたので、恒例の授業紹介をしていきたいと思います!

実際の紹介の前に少し説明を入れると:

Quarter System(3学期制)であるNorthwesternで一般的に推奨されているCourse Load(1学期ごとの履修科目数=credits)は4 creditsで、更に工学部の場合は理数・工学系の授業2つ、その他1-2つと言う内訳が勧められていますが、秋学期も1年目の春学期と同様に5つの授業(厳密には5.33)を履修することにしました。また、秋学期に選んだ授業は全て理数系(・工学系)です。理由としては、

  1. 新型コロナで家に篭っている(いなければいけない)時間が多いので、どうせならその時間を有効に使いたい。クラブや課外活動の活動範囲等が減った分を授業に回して少し先取りをすることによって、以前の生活に戻った時に比較的余裕が出る。
  2. Double Majorの専攻が共にMcCormick School of Engineering and Applied Science(工学部)の専攻で(=必須科目が多い)、高校がインターでなかったためAP Creditをあまり持ってないので、4年間で卒業したければ授業を5つ(今回は5.3 credit)取らなければいけない学期が多少増える。
  3. アメリカの大学(特にNorthwestern)のカリキュラムの柔軟性を最大限に利用して、出来る限り専門科目で先取りしたい(特に研究のために必要な基礎理論の知識や手法を早めに習得したい)。
  4. 文系の授業も取りたいが、それらの授業ではディスカッションが主な柱になるため、新型コロナの収束を待ちたい。

では、これらを踏まえて授業を紹介していきたいと思います:

ES_APPM 395: Methods of Applied Mathematics(偏微分方程式)

応用数学専攻として取る一番最初の授業です。学科自体がMcCormick(工学部)に所属しているため、応用数学専攻の授業に関しては結構数理物理学色が強い印象です。実際、内容としては工学(流体力学、化学工学、電気など)・自然科学(主に物理学、化学)の現象をモデル化する数式の解き方が扱われました。理由としては、自然現象を支配する法則の多くは物事が起こる速さ(変化率)を関連付ける数式であることが多いから、と言うことらしいです。

上:授業の初日に、微分方程式を学ぶ動機として紹介された表。すべてが微分方程式ではないものの、物理学から経済などの重要な方程式の多くが微分方程式として表されています。(引用:Business Insider)

EES_APPM 395は元々ES_APPM 311-1(EA4で扱われない常微分方程式の解法), 311-2(偏微分方程式)と2つの授業に分かれていましたが、今年からこれらを一つの授業にまとめられました。その分ペースがかなり早く、〜400ページ近くの教科書を一気に進めていったため、毎週の課題が何十ページにも及び、扱った内容を次の日までに漏れなく理解しなくてはならないというところでやや大変でした。

教授は凄く優しい方で、Office Hours (Zoom)に行くと大学院進学や奨学金などの相談まで乗ってくれたり、質問をしやすいようにPiazzaと言う掲示板機能の追加をお願いするとすぐPiazzaのサイトを作ってくれました。クラスの構成自体はほぼ50% (ES_APPM 252 Honors Calculus, GEN_ENG 206-4 Honors EA4で同じだった)Honors数学のメンバー、40%大学院生、10%その他(3年生の学生など)でした。特に大学院生とは普段関わりがあまりないため、一緒に授業を受けるのもなかなか新鮮でした。

MECH_ENG 241: Fluid Mechanics I(流体力学I)

日本(の大学)の機械工学科で「4力」と呼ばれる学問の一つです。高校の頃、機械工学科を卒業したJAXAの技術者の方と話した際に、この「4力」の知識がいかに大事かの説明を受けました。簡単に説明すると、この「4力」は材料力学、機械力学、熱力学、流体力学の4つの力学の分野で構成されていて、いかなる機械の設計において最低限知っていなければならない知識を指しているようです。

実際、流体力学の応用先と言うとまず思い浮かぶのは船や飛行機であることが多いでしょうが、この授業を通して流体力学がその他様々な機械などで応用されていることを知りました。例えば、表面張力に関連している現象であるelectrocapillarity(電気毛管性)を応用して、電圧を変化することによって接触角を変えられることを用いて、素早く焦点を変えられるvariable-focus liquid lens(可変焦点レンズ)などが可能になっているらしいです。また、Kindleなどの画面ではelectrowettingと言う(同じような)現象が利用されているようです。

上:最大5000rpmのトップスピンをかけるRafael Nadal.(引用:The Wall Street Journal)

他にも、昔サッカーボールを変な角度で蹴ったり(もちろん選手らはわざと回転をかけていますが)、ピンポン球などに回転をかけて投げると空中で球が変化するのを不思議に思ったことがありましたが、これも流体力学が絡んでいます。流体力学で出てくるベルヌーイの定理(流体における力学的エネルギー保存則のような式)によると、球の回転によって周りの空気が速く・遅くなり、球の変化を生む圧力の差が発生します。よって、テニスで強打しても、ナダル並みに順回転をかけることができればちゃんとコートに治るエッグボールになり、逆に十分な逆回転をかければ、フェデラーみたいにコートの上を滑っていく綺麗なスライスが飛んでいきます。

今回の教授は春学期のEA3と同じ方で、相変わらず分かりやすかったです。春学期のEA3の時は時差のため授業にライブ参加できず、教授と直接話すことができなかったのが残念でしたので、今回は生で見れて良かったです。また、Office Hoursが他の授業の時間と被っているためいつ直接話に行けるのだろう、と悩んでいたところ、運良く毎年恒例(らしい)の定期試験の最高得点取得者の「優勝インタビュー」の対象に選ばれ、教授とTAと直接話す機会が生まれました。最初は勉強法などの話を聞かれていたのが、日米(と教授が出身のインド)の教育システムの違いの話になり、最終的にはベンガル語における日本語の敬語に相当する言語表現や、教授の奥さんが日本語を勉強していることなどの話に展開し、楽しい時間を過ごすことができました。その後も教授のお勧めの、より数学的側面を意識して書かれた流体力学や理論物理学の教科書を勧めてくださり、「仲良く」なることができました。

宿題は毎週教科書の章末問題から5問程度で、中間・期末テストとSelf-Directed Labのレポートで成績がほとんど決まるシステムになっていました。後者は流体力学に関する自由研究をグループでする課題です。教授が昨年度の高得点を取得した自由研究プロジェクトのレポートを参考までに配布してくださったのですが、中には“How Bernoulli would have shotgunned a beer”などの大変興味深い、(かつ実用性のある?!)研究を行っていたチームもあったようです。僕は仲良かった機械工学専攻の友達2人と、春学期のHonors EA4で「オンライン」で知り合ったクラスメイトと4人で容器の横の高さの異なる穴から放出される流体の軌道の包絡線の算出・観察と、ベルヌーイの定理の条件(例えば、安定した非粘性流体であること)を満たさない流体の場合の軌道・包絡線の変化を調べました。

来学期のME 373: Engineering Fluid Mechanicsでは更に数学的に掘り下げて、最終的には航空宇宙工学への応用先が扱われるらしいので楽しみです。

優秀な後輩も一緒に受けてくれるので安心w

MECH_ENG 233: Electronics Design

(引用:Northwestern McCormick School of Engineering, Mechanical Engineering)

機械工学専攻の電気回路、と言うよりも名前の通りエレクトロニクスをデザインする授業と言った方が妥当でしょう。他の授業がほとんど理論ベースである一方、この授業は凄くhands-on experience(実際自分の手で作ってみる体験)重視でした。授業は週に3回あり、毎日新しいアナログ(後半はデジタル)回路の部品が紹介され、その性質などの説明を受けた後、次回までの宿題として回路を設計する授業でした。授業が始まる1週間ほど前にnScopeと言う、この授業を担当している教授方が開発したオシロスコープ・信号発生器がくっついているブレッドボードやトランジスタ、Siダイオード、スイッチ、スピーカー、アナログ・デジタルチップなどの部品が送られてきます。宿題では毎回ある機能を持つ回路をデザインする課題が3つ程度与えられて、授業で習った性質などをヒントにしながら、基本的には自分で試行錯誤しながらデザインをします。

特に学期の後半の方の宿題(電子サイコロなど)はかなり長く、2日に一回宿題が出されること自体が大変でしたが、回路が動いたときの達成感は半端なかったです笑。また、自分でどの部品を使うのかを選択したり、その部品の性質を長いデータシートから読み取らなければならないため、(今振り返れば…)特に理論好き(理論寄り)である僕にとっては色んな意味で良い経験だったとは思います。

ちなみに、3回ある試験では、紙で計算問題を解くだけではなく、実際に60分以内にまさに0から回路図を考えて、エレクトロニクスデザインをしなければなりません。最後の試験で時間が迫ってくる中、焦ってNAND Gateで指を刺してしまいました。痛かったです(泣)。

PHYSICS 135-2, 136-3 (Lab): General Physics (Electricity and Magnetism)

General Physics Sequence(一般物理学)の2つ目のコースで、トピックは電磁気学でした。Weinbergの自然科学系の専攻の人は135-1(力学)から受け始めるのですが、工学部の場合はEngineering Analysis 2(構造力学)と言う授業が135-1の代替となるので、135-2からの参加となります。

内容自体はどの国の学部生でも教養課程で学ぶであろう電磁気学です。イメージ的には、高校物理で教科書で証明なしで出てきてた公式はどこから来たのか?と言う数学的な背景を学ぶ授業でした。

この授業の特徴的な点は、その内容よりは、授業のやり方自体でしょう。Flipped Classroomと言う言葉が既に存在しているようですが、まさにその通り、今までの授業と「真逆」、と言うほどではないものの、授業時間をいかに有効に使うか?と言うところを良く考えられた授業でした。具体的に言うと、Sapling Physicsと言うウェブサイトで授業前までに「予習」として各トピック10-20分程度のPre-Lecture動画と小クイズが課され、授業自体はその章の内容の復習と、動画を見て分からなかったことを質問できる時間として使われました。また、最後の20分は、Whiteboard Questionsと言う、3−4人のグループで一緒に解くための問題が課され、授業終了後に自分の答案を提出する仕組みになっていました。また、テスト自体もグループテストで、ZoomのBreakout Roomsに3−4人で分かれて、一緒に問題を解く、と言うシステムになっていました。最初の方は、勉強をサボっている人がちゃんと勉強をしている人を利用するだけではないか、と言う懸念がもちろんありましたが、テスト自体ではただ単に計算する問題だけではなく、(比較的「パクりにくい」)なぜその答えに至ったのかの理由・数学的導出が大事になってくるので、あまり問題にはなりませんでした。個人的には、最終的な数値などを他のメンバーと相談することができたので、計算ミスなどによる失点を減らすことができたのが嬉しかったです。

STAT 320-1: Statistical Theory and Methods

応用数学専攻には、Probability and Statistics Requirementと言う、確率・統計学に関連する授業を2つ取らなければならないと言う卒業条件があります。Northwesternには何故か統計学関連の授業を教えている学部が複数あり、僕の所属している応用数学科は「確率・統計の授業だったら何でも良い」と言うことだったので、Department of Statistics, Industrial Engineering and Management Systems, Mathematics, Psychology, Chemical Engineering, Biomedical Engineering, Mechanical Engineering, Electrical Engineering and Computer Scienceの統計学の授業から選ぶことができました。学ぶ内容は大体同じですが、それぞれの学部で異なるアプローチが取られているのが興味深いです。例えば、MathematicsとStatistics学部は数学的な厳密な理論を教える一方、他の学部はそれぞれの分野のコンテキストで必要なスキル(Industrial Engineeringの場合、Rなど)に集中したりするらしいです。僕は統計学の定理の証明に重きを置くStatistics Departmentの授業を取ることにしました(二重専攻で統計学専攻の友達も多かったので、一緒に授業を取りたかった、と言うのもありました)。

STAT 320-1は統計学専攻ではWeed Out Classとして少し悪名高い授業ではあることは、Northwestern内部のCTECSと言う授業評価システムのレビューを読んでいたので、ある程度知っていました。Northwesternの統計学の学部自体が小さい方であるのと、最近人気のデータサイエンスの流行りに乗って統計学の数学的側面を甘く見ている人を篩い落とすために、Weed Out Classにしていると言う説も聞いたことあります。

最初の宿題の問題の一つで答案の記述の説明が少し違っただけで宿題全体の評価で30%程度減点されると言う「アクシデント」などがあって、この悪名高い授業を取ったことを少し後悔していた時期も最初の方ありました。また、テストに出される問題は授業・宿題などで見たことのない応用問題や、試験時間中に明らかに終えることのできない積分計算などがあったりしましたが、気付けば5週目ぐらいにはその厳しさに慣れていました。

GEN_MUS 115-0: Non-Major Piano and Organ

(あ、こんにちは。Spicychikenさんの直属の後輩にあたるShishoです。僕このクラスをとっていて、これが結構面白かったのでchikenさんと一緒に授業紹介することになりました。以下僕の文章です)

NorthwesternのBienen音楽院は全米でも有名ですが、実は音楽専攻でなくてもNorthwesternの学生であればBienenで音楽の授業を取れるのです。Gen_Mus 115-0では、Bienenで学ぶPhDの生徒さん(と言ってもそこそこの年齢ですが)が学部生に対しマンツーマンで週1回45分のレッスンをしてくれます。

授業料とは別にquarter毎に$315を払わないといけませんが、4ヶ月でこの値段だと日本の標準より安いし、先生も凄腕なので超お得です。僕の先生は台湾出身のヴィオラ弾きで、大統領の前で演奏したこともあるそう。その上ピアノも超上手くて、なかなか優しい先生でした。ちなみに奥さんは日本人らしい。

授業を受けるにはオーディションが必要です。お題は、初見演奏(簡単め、ムズめのどちらかを選ぶ)と自由課題(3分に収める)の二つ。僕は自信がなかったので結構ガチ目に練習しましたが、後々周りを見てみるとBeethovenの悲壮第二楽章なんか練習している生徒もいたので、そんなに思うほどハードルは高くなさそう。

で、授業で扱う曲は何かと言いますと、「相反するテーマ」。つまり、時代とか作風の違う2曲を扱います。僕はChopinのPrelude1, Prelude2, あとScarlattiのSonata K422を練習しました。(なんで3曲やってんねん、と言いますと僕の先生が「え、Prelude1やりたいの?短すぎね?じゃあ2番もしような」と足したため。) 

Quarterが終わると、最終的にみんなの前で演奏する機会が与えられます(かなりのプレッシャー)。けれど、今回はコロナで生徒が集まれないので、自分の演奏を撮影してGoogleドライブで共有する形になりました。僕、もうろくにScarlattiが弾けなかったので、撮影型で命拾いしました。

授業は正直、しんどかったですー。大体1週間に15時間は練習室にいたような気がします。けれど、これは選曲を失敗しただけで、簡単な曲を選べば絶対もっと楽だったと思います。(選曲はしっかりしましょう。僕みたいに何でもハイハイって言ってると気づかぬうちに数分の会話で鬼スケジュールが出来上がったりします。)

普段はBienenのメインホールの隣にあるRegenstein Hallで練習します。毎日朝の7時から夜の10時まで、個人練習室のYamahaのアップライトピアノが自由に使えます。東京ならアップライトが1時間千円・・と考えれば、やっぱり安上がりです。(僕、ケチですね。)

僕の主観と偏見によるこの授業の評価は、星5つ中⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️でした。来学期も取ろうと思います。

【受験生応援企画!】SAT Subject Test: Chemistry(化学)

以前Math 2やPhysicsの記事を書きましたが、今回はSAT Subject Testのもう一つの(理系の)主要科目とも言えるChemistry(化学)について話していきたいと思います。SAT Chemistryを受験する人の多くは生物系・化学系の専攻を目指している人ですが、文系でChemistryを受ける人も多い印象です。

試験範囲

文系で化学基礎までしか履修していない場合と理系化学を履修した場合に分けて、SAT Chemistryの範囲と日本の(中学と)高校のカリキュラムを比較してみました。理系化学が一通り終わっている場合、SAT Chemistryの範囲のほとんどに対応できるということが分かると思います。一部最初の方で量子力学や原子軌道の知識が必要だったり、熱化学の分野で普段慣れていない記号やギブスの自由エネルギー、エントロピーなどの言葉出てきたりします。これらのトピックは有機化学をやる時に「発展」の内容として扱われることが多く、実際(僕が知っている限り)日本の大学入試に直接出題されることはありません。しかし、僕が1年の1学期に一般化学を履修した時、高校でこれらのトピックを学習した前提で授業が行われ、復習範囲として最初の週に少し触れた程度なので、アメリカの大学で化学を必要とするような学問(一部の工学専攻、生物・化学系など)を専攻したい場合は、SAT Chemistryを機にこれらを勉強するのも良いと思います。また、量子力学と聞いて難しいというイメージがあるかもしれませんが、少なくともSAT Chemistryなどに出る問題ではシュレディンガー方程式を解くことを必要とするものなどの高度な問題は出題されないので、独学でも全然対応可能です(もちろんオービタルなどの形はシュレディンガー方程式を解かないと導出できないという点はありますが、ここでは概念だけ知っていれば十分です)。文系で化学基礎までしか履修していなくても、同様にそこまで高度な数学などは必要ないので、独学でも対応できた方は多くいるようです。特に、文系だが理系科目のSubject Testを少なくとも1つ取っておきたい、という人はSAT PhysicsよりChemistryを選ぶ場合が多い印象です。

試験形式・例題

1時間で85問の選択肢問題を解きます。計算機は使用不可、周期表が与えられるという特徴があります。また、問題は主に次の3つの種類があります:

  1. Classification:選択肢が複数与えられて、その後の問題に最も適しているものを選ぶ。
  2. Relationship Analysis:〜because〜という形の問題。”because”の前の文とその後の文がそれぞれ正しいかを判定し、更に2つ目の文が1つ目の文の説明になっているかどうかを答える。
  3. 5-Choice Completion Questions:一般的な選択肢問題

まず、Classification問題の例を見ていきましょう(全ての問題はCollege Boardより):

問題:Reacts with an equal volume of 0.05 M Ba(OH)2 to form a solution with pH = 7:

選択肢:A) 0.1 M HCl B) 0.1 M NaCl C) 0.1 M HC2H3O2 D) 0.1 M CH3OH E) 0.1 M KOH

この問題は一応”Hard”という難易度を付けられていますが、酸と塩基をしっかり理解していればすぐ答えられると思います。特に、水酸化バリウムBa(OH)2が強塩基であるという知識があれば、あとは1Lの水酸化バリウムに対して濃度が0.05 Mであることより水酸化物イオンOH0.05\rm{M} \times 1 \rm{L} \times 2 = 0.1 \rm{mol}ができるので同じく1Lに対して0.1 molの水素イオンをくれる溶液を探すという方針が出てくると思います。ここで、C)の酢酸は弱酸なのでpH>7になるので、答えは強酸であるA)の塩酸HClになります。

※ちなみに、高校化学ではmol/Lを使うと思いますが、SATなどにはM(モーラー・モル)という単位が出てきます。mol/L = Mです。

では、Relationship Analysisの問題:

問題:

[I] Diamond has a high melting point

BECAUSE

[II] in a diamond crystal, the carbon atoms are held in place by ionic bonds.

これは結構知識問題っていう側面が強い気がしますが、ダイアモンドは確かに融点が高い(3550度以上)ので、[I]はTrueです。しかし、ダイヤの炭素原子はイオン結合ではなく、共有結合で結ばれているので[II]はFalseです。これも知識で答えられますが、イオン結合は電気陰性度の差が大きい原子同士、共有結合は電気陰性度が近いもの同士で起こるということから答えを「導く」こともできます。ちなみに、今回は明らかですが、\%IC = 100\%\times (1-e^{-\frac{(X_A-X_B)^2}{4}})という式(ここで、X_A, X_Bはそれぞれの電気陰性度)からイオン結合か共有結合に近いかを判断することもできます。最後に、[II]は[I]の説明になっていない(そもそも正しくない)のでCE (Correct Explanation)ではないです。

3つ目の種類の問題は、一般的な選択肢問題です。例題を見ていきましょう:

水素14%、炭素86%と言われているので取り敢えず比をとると、\rm{C:H} = 86:14になります。実際の試験では周期表が使えるので覚える必要はありませんが、原子量がそれぞれC=12, H=1(問題を解くうちに覚えている場合が多いですね)であることにより、mol(物質量)の比に変えると\rm{C:H} = \frac{86}{12}:\frac{14}{1}= 7.166....:14\approx 1:2なので組成式(empirical formula)はCH2です(選択肢B)。問題に分子量が与えられていないので、エチレン(C2H4)である可能性はありますが、100%そうとは言えないのでC)とD)を外します。A)は一応間違っていはいないですが、確認したところ模範解答はBと言っています。これは、多分”most informative statement”を選ばなければいけないということが理由であると考えられます。

日本の高校化学ではあまり扱われない電子配置の話に関する基本的な問題も載せておきます:

問題:Has electron configuration 1s^2 2s^2 2p^6 3s^2 3p^4

選択肢:A) Ar B) O C) S D) TI E) U

ここで簡単に電子軌道の説明をすると、中学・高校では電子が原子核の周りの軌道を回っている(ボーア模型)と学びますが、実は電子はエネルギーが異なる電子軌道というものに入っています。問題文に出てきているsとpはそれぞれ球、亜鈴状の形の軌道で、電子がそこにあるかもしれない確率と関係しています。

余談:厳密に言うと、軌道はシュレディンガー方程式から出てきた波動関数で、その二乗が確率密度を表しています。例えば、水素原子の1s軌道(基底状態)の場合、シュレディンガー方程式H\psi = E \psiHはハミルトニアン(力学的エネルギー)と言う演算子で、Eはエネルギー準位)から出てきた波動関数は極座標では\psi (r,\theta,\phi) = (\frac{1}{\pi a_0 ^3})^{1/2} e^{-r/a_0}で、2乗すると\psi^2(r,\theta,\phi) = \frac{1}{\pi a_0 ^3}e^{-2r/a_0}と言う確率密度が出てきます。ここで、a_0 = \frac{4\pi \epsilon_0 \hbar ^2}{m_e e^2}=52.9 \rm{pm}はボーア半径と呼ばれます。これは球面座標系における動径rにしか依存しないので、1s軌道が球の形をしているのが分かると思います(実際の確率はP(r) = 4\pi r^2 \psi^2(r)になります)。ちなみに、p軌道(例えば2p_x)は\psi (r,\theta,\phi) = \frac{1}{2\sqrt{6}} (\frac{1}{a_0})^{3/2} \frac{r}{a_0} e^{-r/2a_0} \times (\frac{3}{4\pi})^{1/2} \sin\theta \cos\phi = \frac{1}{32\pi {a_0}^5}re^{-r/2a_0}\sin\theta \cos\phiと言うもう少し複雑な式で表されます。

Electronic Orbitals - Chemistry LibreTexts
Image from Chemistry LibreTexts

ただ、少なくともSAT Chemistryの問題に限っては、このような知識はそこまで必要ありません。電子が低エネルギーの軌道から入り(構造原理・Aufbau Principle)、各軌道に最大2個の(スピンが異なる)電子が入れて(パウリの禁止律)、同じエネルギーの軌道に入る場合はまずスピンの方向が同じ向きになるように入る(フントの法則)ということを知っていると、あとは3(n = 3)と言う数字から第3周期にあり、M殻(n=3)に電子が2+4=6個あるので原子番号16番の硫黄S(選択肢C)を選べると思います。

対策法・勉強法

他の試験の対策の記事でも書いていますが、SAT Subject Test系の試験対策は基本的に:

  • Barron’s, Princeton Reviewなどの参考書1冊
  • The Official SAT Subject Test Study Guide(今回はもちろんChemistry版)

の2冊で十分だと思います。オービタルなどの未習範囲については、ネットに色々講義ノートや動画が載っているので、それを参考にして勉強し始めるのも良いかもしれません。また、英語に自信があるならば、直接Barron’sの参考書を読むのでも十分だと思います。他のSubject Testと同様、やはり一番のハードルは実際の内容ではなく、問題を英語で素早く理解し、解く必要があるという点です。英語のレベルにもよりますが、やはりどのレベルでも、日頃から重要な専門用語の英訳を調べたり、単語帳を使ったりするのが効果的なのではないかと思います。

他のSubject TestやSAT, AP対策はこちら!

【受験生応援企画!】SAT Reasoning: Math (数学)

以前の記事でAPやSAT Subject Testの試験を取り上げましたが、今回はSATのメインの試験(Reasoning Test)の数学を見ていきたいと思います。SATのSubject TestのMath IIなどは選択科目なので文系受験者であったり受験する大学によっては必須でない一方、SAT Reasoningは恐らく全員が受験するメインの試験なので、必然的にSAT Mathも避けては通れない科目です。とは言え、SAT ReasoningのMathは全員が受ける共通試験であり、やはりアメリカ全国はもちろん、世界中の高校生の数学力を点数化して区別する目的があるため、全体の難易度としてはかなり易しめです。また、中高教育に関しては、平均的に見ると(※これは後で戻ってきます)日本の方がレベルが高いため、例え日本の受験数学が苦手であってもSAT ReasoningのMathで躓くことは、よっぽど基礎知識に欠落がない限り、殆どないと思います。

逆に、特にこのブログを読んでくださっている皆様が目指すような大学を受験する人は、ほぼ例外なくSAT Mathでちゃんと高得点を収めているので、少しでも微妙な点数を取ってしまうと入学審査官に数学の基礎力を疑われることになるので注意が必要です。多くの場合、大学の入学審査官は地域ごと、学校ごとに受験者を選抜していきます。よって、SAT Mathの平均点を余裕で超えていても油断できません。SAT Mathの平均点は大体500/800台と言われますが、特に日本から受験しているならば、同じ高校や同じ地域(=日本)の受験生はほぼ全員満点近く(少なくとも700点台)を取っているでしょう。特に海外経験が少なかったり、英語が苦手てReading and Writing Sectionでの高得点の取得が難しい受験生に取っては、SAT Mathがチャンスになるので、ちゃんと数学で満点近くを取ってReading and Writingで失った分を補って合計点(1600点満点)を上げていくことが大事になってきます。

余談:SAT Mathを見て「アメリカの学生・教育のレベルは本当に高いのか?」と逆に心配になることもあると思いますが、少なくとも僕の経験上、SAT Mathの難易度だけでアメリカの受験生の数学力や、大学の入学難易度を判断することはあまりできないと思います。他の記事でも書いていますが、まず、少なくとも皆さんが目指すような大学を受験している人は高校で大学教養レベルの内容を学習しているので、彼らに取ってもSAT Mathはかなり簡単です。実際、周りではSAT 1550/1600点以上、ACT 35/36点以上の人がほとんどです。僕の印象ではありますが、SATが簡単である理由は、共通な教育課程がある日本の高校生に比べてアメリカの高校生の学力の方がより広く分布している(上と下の差が大きい)という点もあると思います。

出題範囲

SATを作っているCollege Boardのホームページには、次のトピックを中心に問題が出題されると書いてあります:

  1. Heart of Algebra (19問):一次方程式、連立一次方程式、多くの分野で現れるような関数
  2. Problem Solving and Data Analysis (17問): 比率、パーセント計算、比例などの知識を科学や社会科学への応用、グラフ・統計学など
  3. Passport to Advanced Math (16問):自然科学、工学、経済学で現れる微積分や統計学を学ぶに当たって必要な基礎力

試験形式・例題

Math Sectionは計算機使用可のCalculator Portion(38問・55分)と計算機禁止のNo-Calculator Portion(20問・25分)に分かれています。また、全体58問中の45問が選択肢問題で、残りの13問はStudent-Produced Responseという「記述」問題です。後者は一応「記述」が必要ですが、国内受験の記述問題やAP試験のFree Response Questionのように長々と説明・証明や途中式を書くのではなく、ただ単に数字を実際書かなければならない(つまり、選ぶわけではない)だけ、という意味にの「記述」問題です。

実際の問題を見た方が難易度や形式のイメージがつきやすいと思うので、いくつかの例題を貼っておきます(問題はCollege Boardより):

No-Calculator Sectionの例題です。College Boardの解説には”particularly challenging question”という評価がされていますが、割と普通の図形問題だと感じる人も多いでしょう。円の中心OからCDに垂線を下ろし、その足をHとして、△ODHにおいて三平方の定理を用いるだけです。求めるべき距離をdとすると、d^2+(\frac{1}{2}\cdot\frac{4}{3}r)^2=r^2かつd>0よりd=\frac{\sqrt{5}}{3}rなので、答えは選択肢D).

Calculator Sectionの問題です。計算機を使用できるからと言って毎回使うと逆に解くスピードが遅くなる可能性があるので、いつ使うかを見極める練習も大事になってきます。で、この問題はそもそも計算機を使わない問題です。これは数学的にはかなり簡単な問題で、近似直線の傾きが変化の割合を示していることを知っていればすぐにAであると分かります。選択肢Bでは傾きを\frac{\Delta y}{\Delta x}ではなく\frac{\Delta x}{\Delta y}であると勘違いしていて、CとBはそもそも傾きとは関係なく、軸との交点での値です。問題の数学的側面はかなり易しいですが、問題設定と選択肢の意味を英語で読み取って理解する必要があるので、日頃から英語で数学を受けていない人にとっては読解力の練習が必要になってくるかもしれません。

対策法

他の試験と同じですが、多くの受験生にとってはやはり内容(数学)自体の理解より、英語で問題を読んで解くという側面が課題になってくると思います。余裕があるなら、日頃の数学の授業で出てくる単語の英訳を調べてノートに書き込んだり、英語の数学用語集などを印刷(または自分でまとめる)などをして単語力をアップするのが良いと思います。また、実際の試験を受ける前には、青い過去問の本を購入し、何年分かを解くのが良いでしょう。

【受験生応援企画!】AP Physics C: Electricity and Magnetism(電磁気)

前回はAP Physics C: Mechanics(力学)について書きましたので、今回は続いてAP Physics C: Electricity and Magnetismの試験を見ていきたいと思います。ちなみに、他の試験(AP Calculus BCやSATなど)の対策方法について書いた記事はこちらからアクセスできるので、是非読んでみてください!

試験範囲・試験対策

  1. Electrostatics (静電気力)
  2. Conductors, Capacitors, Dielectrics(導体・コンデンサ・誘電体)
  3. Electric Circuits(電気回路)
  4. Magnetic Fields(磁場)
  5. Electromagnetism(電磁気)

これらのトピック自体は高校物理で学びますが、AP Physics C: Mechanicsと同様、ここでは実際どのようにして高校物理で使っていた公式が出てきたのか、という導出の部分が重点的に問われます。駿台文庫の『新・物理入門』などに載っている内容に似ています。

説明だけだと高校物理と何が違うのかが分かりにくいと思うので、例として高校物理の教科書で(多くの場合)証明なしで出される円形電流の中心の磁束密度B=\frac{\mu_0 I}{2R}の公式について考えましょう。これは実はビオ・サバールの法則という実験を通して求められた式から出てきています。ビオ・サバールの法則はd\bold{B}=\frac{\mu_0}{4\pi}\frac{Id\bold{s}\times \bold{r}}{r^3}という式で表され、電流断片Id\bold{s}\bold{r}が垂直なので、dB = \frac{\mu_0 I ds \sin{\theta}}{4\pi R^2}よりB=\frac{\mu_0 I}{4\pi R^2}\oint_{C}ds=\frac{\mu_0 I}{4\pi R^2}(2\pi R)=\frac{\mu_0 I}{2R}が出てきます。このように、微分積分を用いて高校の教科書に載っている単純な形以外のものも対応できる式を各章で扱われます。

試験対策としては、ほぼ同じテスト(内容が違うだけ)なので、AP Physics C: Mechanicsの記事で書いた対策法で大丈夫だと思います。オススメの参考書やYouTubeの動画も同じです。MITのWalter Lewin先生の動画は、”8.02 Physics II: Electricity and Magnetism”シリーズになります。

例題

では、例題で試験の出題傾向や難易度などを見ていきましょう。まずはMultiple Choice Sectionの問題から:

公開されている問題が少ないのでまた1998年度の過去問からの問題です。誘電起電力\varepsilon = bAt^{1/2}が与えられているので、ファラデーの電磁誘導の法則\varepsilon = -\frac{d\Phi}{dt}を使います(高校物理の教科書ではd\Deltaですね)。面積Aは定数なので\varepsilon = -\frac{d\Phi}{dt}=-A\frac{dB}{dt}で、これを\varepsilon = bAt^{1/2}と合わせるとbAt^{1/2}=-A\frac{dB}{dt}。両辺からAを消去し、式変形するとB(t)=-\int bt^{1/2}dt=-\frac{2}{3}bt^{3/2}+C。よって、(E)が正解(マイナスは磁束密度\bold{B}と面積要素d\bold{S}が逆向きと考えると+になり、C=0を取る。)。

Multiple Choiceが終わった後は、Free Response Questions(記述問題)に入ります。College Boardが公開している2019年度の過去問を見てみましょう:

AP Physics C: Mechanicsでもそうですが、E&Mの方がMechanicsに比べて実験問題などが多い印象です。実際、この問題の続きの小問(ここでは省略)はある学生の解答の間違いを指摘する問題になっています。(a)を解説すると、まず(i)の答えは+y軸方向の矢印。(ii)では細い円柱と同じ軸を持ち、点P(0,c)を含む閉曲面を使う。(iii)ではガウスの法則を使う。\oint \bold{E}\cdot d\bold{A} = \frac{Q}{\varepsilon_0}よりEA=\frac{Q}{\varepsilon_0}。ここで、A = 2\pi cLQ=\lambda LなのでE\cdot 2 \pi c L = \frac{\lambda L}{\varepsilon_0}よりE=\frac{\lambda}{2\pi \epsilon_0 c}になる。

【受験生応援企画!】AP Physics C: Mechanics(力学)対策

皆さんお久しぶりです。前回はAP Calculus BCの試験について書きましたので、僕が高3(厳密に言うと高校卒業2ヶ月後)の時に受験したAP Physics C: Mechanicsの試験を見ていきたいと思います。ちなみに、他の試験(AP Calculus BCやSATなど)の対策方法について書いた記事はこちらからアクセスできるので、是非読んでみてください!

AP Physics Cって何?

海外の高校やインターに通っていない限り、米国大学受験を考えていてもAP Physics Cを聞いたことある人は少ないと思います。僕の場合も、国内の(インターではない)高校に通っていたため、そもそもAP試験を知ったのが高3の夏辺りだった気がします。AP試験自体についてはこちらの記事で紹介しているのでここではあまり長く書きませんが、AP試験は大体5月に行われるので、高3の夏休みに初めて「AP (Advanced Placement) Exam」という言葉を耳にした僕にとっては、高校卒業後の2ヶ月後がAP試験を受験する最後(かつ唯一の)チャンスでした。アメリカの大学の入学審査官は国内高校ではもちろんAPカリキュラムというものが存在しないことは分かっているので、受験時にAP試験の欄で見せるものがなくても(国内高校出身の場合は)そこまで不利にはならないですが、やはり以前の記事で書いた通り、入学後にも色々楽になるので、高2以下の受験生には是非挑戦してほしいと思っています。同じ米国大学に留学している人に聞いてみると、やはり良い大学に入っている人は(インターに通っていなくても)高校留学や独学を通してAP試験を受験していた人が一定数いるようです。特に数学IIIの範囲と被っているところが多いため、AP Calculus BCを高校時代受験していた人が多いです。

実はAP Physicsという科目は

と4つの試験で構成されます。今回のAP Physics C: Mechanicsは、主に工学部や(物理学科以外の)理学部の1年生が履修する物理の授業の内容を扱っています。

試験範囲

  1. Kinematics(力学)
  2. Newton’s Laws of Motion(運動の法則)
  3. Work, Energy, and Power (仕事、エネルギー、仕事率)
  4. Systems of Particles and Linear Momentum (質点系、直線運動量)
  5. Rotation(回転運動)
  6. Oscillations(振動)
  7. Gravitation(万有引力)

理系で物理選択の場合、回転運動以外は全て高校で学ぶと思いますが、AP Physics C: Mechanicsではこれらで使用する公式などを微積で導き、より一般的な運動の考察が求められます。(国内大学向けの)大学受験の塾に通っている場合は、公式の導出などで微積を使うことがあると思いますが、内容的にはそれらのテキスト(または駿台文庫の『新・物理入門』)に載っているものと似ています。

試験対策

塾や学校の先生が微積を使わない場合、これらを独学で習得する必要があります。僕の場合、大学受験終了後にAmazonでBarron’sのAP Physics Cの対策本を購入しました。Barron’sの本は過去問形式の練習問題が多い他、教科書的な側面もあるので、正直この本だけで全然十分だと思います。勉強方法としては、毎日1,2チャプターを進め、

内容をノートにまとめる→公式の導出を理解する→例題を見ながらその範囲の典型問題(典型パターン)の方針を頭に入れる→チャプターの最後の練習問題を解く

という流れが効果的でした。回転運動など、日本の高校範囲に入っていないものについてはMITのProf. Walter Lewinの講義(8.01 Classical Mechanicsというシリーズ)を見て補足していました。Prof. Walter Lewinの授業はかなり人気があり、凄く分かりやすいですが、大体動画一本が1時間ぐらいなので、AP Physics C専用の動画など(平均10-20分程度?)を見るのもお勧めします。また、試験はもちろん英語で、記述問題も英語で書かなければいけないのでやはり英語で学ぶのがベストですが、日本語の動画や資料を参考するのも良いかもしれません。

例題

では、日本の高校範囲ではあまり扱われない回転運動の例題を見ていきましょう。以下はCollege Boardのウェブサイトに載っている2018の過去問からの問題です。AP Physics Cは記述問題と選択問題の両方がありますが、これは記述問題(Free Response Question)です。

【簡単な解説(a)-(c)】

(a): 公式I=\int r^2 dmを使う。dm = \lambda dx = \frac{2M}{L^2}xdxなのでI=\int_{0}^{L} x^2 \frac{2M}{L^2} xdx = \frac{1}{2} ML^2. よって、題意は示された。

(b)それぞれの慣性モーメントを足すと、I_{tot} = ML^2 + 3(\frac{1}{2} ML^2) = \frac{5}{2} ML^2を得る。

(c) \tau = I \alphaを使う。Fは一定と言われてるので、\alpha = \frac{\Delta \omega}{\Delta t}=\frac{\omega-0}{\Delta t}ということを考慮し、FL=\frac{5}{2}ML^2 \frac{\omega}{\Delta t}\omegaについて解くと\omega = \frac{2F \Delta t}{5ML}を得る。

【(続き)簡単な解説(d)-(e)】

(d) 垂直抗力、重力、摩擦力が働く(図は省略)。

(e) 力学的エネルギー保存則を使う。\frac{1}{2}mv^2+\frac{1}{2}I\omega ^2 = mgHよりH= \frac{4ML^2+I_{tot}}{8Mg}\omega ^2.

Multiple Choiceの方では、以下のような問題が一般的です;

【問34(1998年度)】この問題は、1998年度の問題です(記述問題は毎年公開されるのに、なぜか最近のMultiple Choiceの問題は全然公開されていません)。高校物理でも良く見かける終端速度関連の問題です。重力と空気抵抗が釣り合うとa =0になり、その時v_{\infty} = \frac{g}{b}なので、t \to \inftyの時v \to \frac{g}{b}になる選択肢(A)が正解です。実際、a = \frac{dv}{dt} = g-bvという微分方程式を解くとv(t)=\frac{g}{b}+Ce^{-bt}になります。

【問27 (1998年度)】F=-\frac{dU}{dx}より、\Delta U = -\int_{0}^{2} F(x)dx =-\int_{0}^{2}(40x-6x^2)dx=-64 [\textrm{J}]. ここでのFはバネを伸ばすために必要な力である。よって、求めるべきは値は64 [\textrm{J}]で、答えは(D).